COLUMN

海外での幹細胞治療のリスクと国内での安全な選択

グラングリーン大阪うめきたクリニックの島田英徳です。

難治性の疾患やエイジングケアの新たな選択肢として、再生医療、特に幹細胞を用いた治療に関心を持つ方が増えています。その中で、海外での治療を検討されるケースも聞かれますが、その多くは国内で承認されていない「未承認の再生医療」であり、様々なリスクを伴う可能性があります。この記事では、海外での未承認再生医療に潜むリスクと、日本国内で安全性を確認しながら治療を検討するための基準について解説します。

未承認の再生医療と「ステムセルツーリズム」

「ステムセルツーリズム(幹細胞治療ツーリズム)」とは、自国では承認されていない、あるいは提供されていない幹細胞治療を受ける目的で海外へ渡航することを指します。インターネットなどを通じて、劇的な効果をうたう情報に触れ、期待を抱いて海外のクリニックを訪れる方も少なくありません。しかし、これらの治療の多くは、科学的な有効性や安全性が十分に検証されていない「未承認」のものであるのが実情です。規制が緩やかな国や地域で提供されている場合、どのような細胞が、どのように培養・管理され、投与されるのかが不透明なケースも報告されています。

海外の未承認再生医療に伴う主なリスク

海外で提供される未承認の再生医療には、以下のようなリスクが考えられます。治療を検討する際には、これらの点を冷静に評価することが極めて重要です。

  • 安全性の懸念
    細胞の培養過程における細菌やウイルスの混入(感染症)、他人の細胞を用いた場合の免疫拒絶反応、投与された細胞が予期せず腫瘍を形成する可能性などが指摘されています。衛生管理や品質管理の基準が不明確な施設では、これらのリスクが高まる可能性があります。
  • 有効性の不確実さ
    宣伝されているような効果が得られるという科学的根拠が乏しい場合があります。個人の体験談や限定的なデータのみを根拠にしていることもあり、期待した結果が得られないだけでなく、かえって健康状態を損なう可能性も否定できません。
  • 情報提供と同意の不備
    治療内容、期待される効果、起こりうる副作用やリスクについて、十分な説明がなされないまま治療が進められることがあります。また、万が一健康被害が生じた場合に、適切な補償やフォローアップを受けられないケースも考えられます。
  • 高額な費用
    自由診療であるため費用は高額になりがちで、その内訳も不透明なことがあります。効果が不確実な治療に対して、大きな経済的負担を負うことになる可能性があります。

日本の「再生医療等安全性確保法」の役割

日本では、再生医療の安全性を確保し、国民が安心して治療を受けられるようにするため、「再生医療等安全性確保法」という法律が定められています。この法律に基づき、国内で再生医療を提供する医療機関は、治療計画の妥当性や安全性、細胞の加工・管理体制などについて、国(厚生労働省)の審査を受け、認可や届出を行う必要があります。この法律は、科学的根拠が乏しい治療や、安全管理が不十分な治療が安易に行われることを防ぐための重要な枠組みです。つまり、国内でこの法律に準拠して提供される再生医療は、一定の安全基準を満たしていると考えられます。

国内で信頼できるクリニックを選ぶ基準

日本国内で再生医療を検討する場合、以下の点を確認することが、信頼できる医療機関を選ぶ上での一つの基準となります。

  • 再生医療等提供計画の届出・受理
    提供しようとする再生医療が、再生医療等安全性確保法に基づき、厚生労働省に届出・受理されているかを確認しましょう。受理番号などが公開されている場合が多いです。
  • 医師による丁寧な説明
    治療のメリットだけでなく、リスク、副作用、代替治療の選択肢、期待される効果の限界などについて、医師が時間をかけて丁寧に説明してくれるかどうかが重要です。疑問や不安に真摯に答えてくれる医療機関を選びましょう。
  • 明確な費用体系
    治療にかかる費用の総額や内訳が明確に提示されるかを確認します。追加費用の可能性についても事前に説明があることが望ましいです。
  • 誇大な広告表現の有無
    「絶対に効果がある」「副作用は一切ない」といった断定的な表現や、科学的根拠の乏しい体験談を強調するような広告を行っている場合は、慎重な判断が必要です。

大阪・梅田で再生医療の相談を検討されている方へ

海外での治療を考える前に、まずは国内の医療機関で専門的な知見を持つ医師に相談し、正確な情報を得ることが大切です。グラングリーン大阪 うめきたクリニックでは、再生医療等安全性確保法を遵守し、細胞治療に関するご相談を承っております。治療の適応については、医師が患者様一人ひとりの健康状態を診察し、慎重に判断いたします。どのような治療法が考えられるのか、どのようなリスクがあるのか、ご自身の状態に合っているのかなど、まずは専門家にご相談ください。大阪・梅田というアクセスしやすい立地で、皆様の疑問や不安に寄り添いながら、適切な情報提供を心がけております。

まとめ

海外で提供される未承認の再生医療は、大きな期待を抱かせる一方で、安全性や有効性が確立されておらず、多くのリスクを伴います。安易な情報に頼るのではなく、まずは国内の法規制のもとで、適切な情報提供と安全管理を行う医療機関に相談することが重要です。治療の選択は、ご自身の健康に関わる大切な判断です。正しい知識を基に、慎重に検討を進めるようにしてください。

参考情報

監修医師紹介

島田 英徳

医療法人島田クリニック理事長
グラングリーン大阪うめきたクリニック診療部長

島田 英徳

2005年徳島大学医学部医学科卒業。初期研修後、米国医師資格(ECFMG certification)を取得し、米国ワシントン大学一般外科にてサブインターンとして研修。京都大学大学院医学研究科博士課程、京都大学iPS細胞研究所研究員を経て、2013年に島田クリニックを開業。グラングリーン大阪うめきたクリニック(https://umekitaclinic.org)では、内料・小児科から細胞治療や美容医療に至るまで、幅広い診療に携わる。

※本記事の医師監修に関して、学術部分のみの監修となり、医師が具体的な施術や商品等を推奨しているものではございません。

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