グラングリーン大阪うめきたクリニックの島田英徳です。
ご自身の細胞を用いる再生医療に関心をお持ちの方の中には、治療の第一歩となる「脂肪の採取」について、具体的な疑問や不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。「痛みはどの程度なのか」「仕事は何日休む必要があるのか」「美容目的の脂肪吸引とは何が違うのか」など、身体への負担やダウンタイムは特に気になる点かと思います。
この記事では、再生医療を目的とした脂肪採取の基本的なプロセス、身体への負担、そして治療を検討する前に知っておきたい注意点について、医学的な観点から解説します。ご自身が納得して治療を選択するための一助となれば幸いです。
脂肪由来幹細胞を得るための「脂肪採取」
再生医療で用いられる脂肪由来幹細胞は、ご自身の皮下脂肪から採取されます。このプロセスは、ご自身の身体から少量の脂肪を採取し、その中に含まれる幹細胞などを分離・抽出し、治療に利用することを目的としています。
「脂肪を採る」と聞くと、痩身を目的とした美容医療の「脂肪吸引」を思い浮かべるかもしれませんが、両者は目的と採取量が大きく異なります。再生医療目的の場合、治療に必要な細胞を得るために、一般的に数十cc程度の少量の脂肪を採取します。これは、広範囲のスタイル改善を目指す脂肪吸引に比べて非常に少ない量です。そのため、身体への負担にも配慮しながら、局所麻酔下で行われることが多くなっています。
脂肪採取の基本的な流れ
脂肪由来幹細胞を得るための脂肪採取は、医療機関で慎重な手順に沿って行われます。一般的な流れは以下の通りですが、具体的な方法は医療機関や治療内容によって異なります。必ず事前に医師から詳しい説明を受けてください。
- 1. 診察とカウンセリング
医師が健康状態を確認し、治療の適応を慎重に判断します。脂肪採取のプロセス、期待されること、考えられるリスクや副作用について詳しく説明を受け、十分に理解・納得した上で同意することが重要です。 - 2. 採取部位の決定
脂肪を採取する部位を決定します。一般的には、脂肪が比較的多く、傷跡が目立ちにくい腹部や臀部(お尻)、大腿部(太もも)などが選ばれる傾向にあります。 - 3. 消毒と局所麻酔
採取部位を清潔に消毒し、痛みを抑えるために局所麻酔を行います。これにより、施術中の痛みの緩和が期待できます。 - 4. 脂肪の採取
皮膚を数ミリ程度小さく切開し、そこからカニューレと呼ばれる細い管を挿入して、シリンジ(注射器)でゆっくりと脂肪組織を吸引します。 - 5. 採取後の処置
脂肪の採取が終わったら、切開した部分を縫合、または医療用のテープで保護します。採取した脂肪は、細胞培養加工施設にて、幹細胞の分離や培養といったプロセスに進みます。
身体への負担とダウンタイム
脂肪採取は医療行為であるため、身体への負担やダウンタイムが全くないわけではありません。個人差はありますが、以下のような経過をたどることが一般的です。
- 痛み:局所麻酔が切れた後、採取部位に筋肉痛のような痛みや違和感が生じることがあります。通常は処方される鎮痛薬で対応できる範囲ですが、痛みの感じ方には個人差があります。
- 腫れ・内出血:採取部位に腫れや内出血が見られることがあります。通常は1〜2週間程度で徐々に落ち着いていくことが多いですが、こちらも個人差があります。
- 日常生活への影響:シャワーは翌日から可能な場合が多いですが、激しい運動や飲酒、長時間の入浴などは、一定期間控えるよう指示されることがあります。デスクワークなど身体的負担の少ない仕事であれば、翌日から復帰できるケースもありますが、医師の指示に従ってください。
また、頻度は低いものの、感染、血腫(血液の塊)、皮膚の凹凸などのリスクも考えられます。こうしたリスクを低減するためにも、衛生管理が徹底された医療機関で、経験のある医師のもとで施術を受けることが重要です。
自由診療として知っておきたいこと
脂肪由来幹細胞を用いた治療は、多くの場合、公的医療保険が適用されない自由診療となります。自由診療では、治療内容や費用、期間などを医療機関が独自に設定しています。
そのため、治療を受ける前には、その治療がご自身の状態に適しているのかを医師とよく相談することが不可欠です。治療にかかる費用、期間、回数の目安、そして考えられるリスクや副作用の詳細について、必ず事前の診察で医師から説明を受け、ご自身が十分に納得した上で判断するようにしてください。
大阪・梅田で治療を検討する際に
再生医療は専門的な知識と技術を要する分野であり、脂肪採取から細胞の加工、投与に至るまで、一貫した品質管理と安全対策が求められます。大阪・梅田周辺で治療を検討される際は、ウェブサイトの情報だけで判断せず、実際に医療機関に足を運び、医師から直接説明を聞くことが大切です。
グラングリーン大阪 うめきたクリニックは、JR大阪駅直結のグラングリーン大阪内に位置しており、アクセスしやすい環境で再生医療に関するご相談を承っています。医師が個々の状態を丁寧に診察し、治療の選択肢の一つとして脂肪由来幹細胞を用いた治療が考えられるか、またその場合のプロセスや考えられるリスクについてご説明します。まずは専門家の意見を聞いてみたいという方は、一度ご相談ください。
まとめ
再生医療における脂肪採取は、ご自身の幹細胞を用いた治療の重要な第一歩です。美容目的の脂肪吸引とは異なり、比較的少量の脂肪を、身体への負担に配慮しながら採取します。ダウンタイムは日常生活に大きな支障をきたすことは少ない傾向にありますが、医療行為である以上、痛みや内出血などの可能性はゼロではありません。
脂肪由来幹細胞を用いた治療を検討する際は、そのプロセスや安全性、身体への影響について十分に理解し、納得した上で判断することが大切です。ご自身の身体に関わる重要な選択だからこそ、信頼できる医療機関で医師とよく相談し、疑問や不安を解消することから始めましょう。
参考情報
- PubMed: Adipose Tissue Stem Cells for Knee Arthritis and Cartilage Lesions: A Three-Year Follow Up. (2023)
- PubMed: Feasibility of minimally invasive, same-day injection of autologous adipose-derived stem cells in the treatment of erectile dysfunction. (2023)
- PubMed: The efficacy and safety of autologous stromal vascular fraction transplantation for infraorbital skin rejuvenation: A clinical prospective study. (2022)
- PubMed: Transcutaneous lower eyelid blepharoplasty with micro-autologous fat transplantation harvested from orbital fat pads for lower eyelid aging treatment. (2024)
- PubMed: The Athena trials: Autologous adipose-derived regenerative cells for refractory chronic myocardial ischemia with left ventricular dysfunction. (2017)
- PMC: Clinical Efficacy of Adipose-Derived Stem Cell-Enriched Lipotransfer Versus Conventional Fat Grafting: A Systematic Review and Meta-Analysis. (2026)
- PMC: Laparoscopic adipose-derived stem cell harvest technique with bipolar sealing device: Outcome in 12 dogs. (2022)
- PMC: An updated narrative review on revolutionizing erectile dysfunction treatment: the crucial role of trophic factors in Adipose-Derived stem cell therapy. (2025)
- PMC: Breast Augmentation in Body Contouring Using Autologous Stem Cell-Enriched Fat Grafting: Fifteen-Year Clinical Experience. (2025)
- 厚生労働省: 医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書 / Q&A (2023)
監修医師紹介
医療法人島田クリニック理事長
グラングリーン大阪うめきたクリニック診療部長
島田 英徳
2005年徳島大学医学部医学科卒業。初期研修後、米国医師資格(ECFMG certification)を取得し、米国ワシントン大学一般外科にてサブインターンとして研修。京都大学大学院医学研究科博士課程、京都大学iPS細胞研究所研究員を経て、2013年に島田クリニックを開業。グラングリーン大阪うめきたクリニック(https://umekitaclinic.org)では、内料・小児科から細胞治療や美容医療に至るまで、幅広い診療に携わる。
※本記事の医師監修に関して、学術部分のみの監修となり、医師が具体的な施術や商品等を推奨しているものではございません。