COLUMN

脳梗塞・脊髄損傷後の再生医療とリハビリテーション

グラングリーン大阪うめきたクリニックの島田英徳です。

脳梗塞や脊髄損傷は、ある日突然、身体の機能に大きな影響を及ぼす可能性のある疾患です。後遺症として運動機能の麻痺や感覚障害などが残り、以前と同じような日常生活を送ることが難しくなることも少なくありません。ご本人やご家族は、機能回復を目指して懸命にリハビリテーションに取り組まれていることと思います。

従来の治療法に加えて、近年では「再生医療」という新しいアプローチが注目されています。この記事では、脳梗塞や脊髄損傷後の機能回復を目指す上で、再生医療とリハビリテーションをどのように組み合わせ、どのような相乗効果が期待されているのかについて、基本的な考え方を解説します。

再生医療とリハビリテーションを組み合わせる考え方

脳梗塞や脊髄損傷後の機能回復において、再生医療とリハビリテーションを組み合わせるアプローチは、それぞれの長所を活かし、相乗効果を生み出すことを目指すものです。結論から言うと、再生医療が「身体の内部環境を整える」役割を担い、リハビリテーションが「その環境を最大限に活用して機能を再学習する」役割を担う、という考え方に基づいています。

再生医療、特に幹細胞を用いた治療では、投与された細胞が損傷した神経組織の修復をサポートする可能性が研究されています。一方、リハビリテーションは、残された機能を最大限に引き出し、脳や神経の「可塑性(かそせい)」を利用して新しい神経回路の構築を促す重要なプロセスです。この二つを適切なタイミングで組み合わせることで、それぞれを単独で行うよりも高いレベルでの機能回復が期待できるのではないかと考えられています。

脳梗塞・脊髄損傷で起こる身体の変化

後遺症からの回復を考える上で、まず身体の中で何が起きているのかを理解することが大切です。脳梗塞や脊髄損傷は、神経細胞がダメージを受けることで、脳からの指令が手足にうまく伝わらなくなったり、感覚情報が脳に届きにくくなったりする状態です。

  • 脳梗塞後の後遺症:手足の麻痺、言語障害(失語症)、嚥下障害、高次脳機能障害(記憶や注意力の低下)など、損傷を受けた脳の部位によって様々な症状が現れます。
  • 脊髄損傷後の後遺症:損傷した部位より下の運動機能や感覚が麻痺します。自律神経の機能に影響が及ぶこともあります。

これらの症状は、神経細胞そのものが失われたり、神経のネットワークが断たれたりすることが主な原因です。一度損傷した中枢神経系の再生は非常に難しいとされてきましたが、近年の研究により、そのメカニズムが少しずつ解明されつつあります。

再生医療によるアプローチの可能性

再生医療は、失われた組織や機能の再生を目指す医療技術の総称です。脳梗塞や脊髄損傷の分野では、特に「幹細胞」を用いた治療法が研究されています。幹細胞とは、様々な種類の細胞に変化する能力(分化能)と、自分自身を複製する能力(自己複製能)を持つ特殊な細胞です。

治療では、ご自身の脂肪や骨髄などから採取した幹細胞を培養し、点滴などで体内に戻す方法が一般的です。体内に投与された幹細胞は、損傷部位に集まる性質があると考えられています。そこで、炎症を抑えたり、神経を保護する物質を放出したり、新しい血管の形成を促したりすることで、損傷した神経組織が回復しやすい環境を整える働きが期待されています。この働きは、幹細胞が直接神経細胞に置き換わるというよりは、周囲の細胞に働きかけて組織修復をサポートする「パラクライン効果」が主であるとされています。

ただし、これらのアプローチはすべての方に同じような結果をもたらすわけではなく、効果には個人差があります。また、治療の適応についても医師による慎重な判断が必要です。

リハビリテーションの重要性と相乗効果

再生医療が身体の内部環境を整えるアプローチであるのに対し、リハビリテーションは、その環境を活かして具体的な機能を取り戻すための能動的なトレーニングです。理学療法や作業療法、言語聴覚療法などを通じて、関節の動きを維持し、筋力を向上させ、日常生活に必要な動作の再学習を目指します。

重要なのは、脳や神経が持つ「可塑性」です。これは、経験や学習によって神経回路の構造や機能が変化する性質のことです。リハビリテーションを繰り返し行うことで、脳は損傷した部分を迂回する新しい神経の通り道を作ったり、残っている神経細胞の働きを強化したりしようとします。再生医療によって神経組織の修復が促される環境が作られた状態で、集中的なリハビリテーションを行うことで、この神経の可塑性がより効果的に引き出される可能性があります。これが、再生医療とリハビリテーションの「相乗効果」として期待されている点です。

大阪・梅田で治療を検討する際に確認したいこと

脳梗塞や脊髄損傷後の機能回復を目指す治療は、非常に専門的な判断を要します。もし大阪・梅田周辺で再生医療を含む新しい治療の選択肢を検討される場合、まずは治療の全体像を正しく理解することが重要です。

どのような治療法であっても、その適応は患者様お一人おひとりの身体の状態、病状の経過、年齢などによって異なります。そのため、必ず専門の医師による診察と評価が必要です。診察の際には、ご自身の現状や、どのような状態を目指したいのかを具体的に伝え、以下の点について十分に説明を受けるようにしましょう。

  • 治療の具体的な内容と目的
  • 期待される変化と、その可能性の程度
  • 考えられるリスクや副作用
  • 治療のスケジュールや期間、費用
  • リハビリテーションとの連携方法

グラングリーン大阪 うめきたクリニックは、JR大阪駅や各線梅田駅からアクセスしやすい場所に位置しています。専門的な治療について検討する際は、通院のしやすさも大切な要素です。まずは医師の診察を受け、ご自身の状態に合った選択肢は何か、じっくりと相談することから始めてみてはいかがでしょうか。

参考情報

監修医師紹介

島田 英徳

医療法人島田クリニック理事長
グラングリーン大阪うめきたクリニック診療部長

島田 英徳

2005年徳島大学医学部医学科卒業。初期研修後、米国医師資格(ECFMG certification)を取得し、米国ワシントン大学一般外科にてサブインターンとして研修。京都大学大学院医学研究科博士課程、京都大学iPS細胞研究所研究員を経て、2013年に島田クリニックを開業。グラングリーン大阪うめきたクリニック(https://umekitaclinic.org)では、内料・小児科から細胞治療や美容医療に至るまで、幅広い診療に携わる。

※本記事の医師監修に関して、学術部分のみの監修となり、医師が具体的な施術や商品等を推奨しているものではございません。

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