グラングリーン大阪うめきたクリニックの島田英徳です。
肝硬変は、さまざまな原因によって肝臓の細胞が壊れ、線維化が進むことで肝臓全体が硬くなってしまう状態です。進行すると肝臓の機能が著しく低下し、黄疸や腹水、意識障害といった症状が現れることもあります。従来の治療法では進行を遅らせることが中心となりますが、失われた肝機能を取り戻すことは容易ではありませんでした。こうした背景から、近年、損傷した組織の修復を促す可能性を持つ「再生医療」、特に幹細胞を用いた治療が新たな選択肢として注目されています。
肝硬変とはどのような状態か
肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、初期の段階では自覚症状がほとんどありません。しかし、病状が進行し肝硬変に至ると、肝臓の正常な構造が破壊され、その機能が大きく損なわれます。肝硬変の主な原因としては、C型肝炎やB型肝炎などのウイルス性肝炎、長期にわたる過度なアルコール摂取、そして近年増加している非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD/MASLD)などが挙げられます。
肝臓が硬くなると、血液の流れが悪くなり、食道静脈瘤や腹水、むくみなどの合併症を引き起こすリスクが高まります。また、肝臓の解毒作用が低下することで、体内に有害な物質が蓄積し、肝性脳症と呼ばれる意識障害に至る可能性もあります。さらに、肝硬変は肝がんの発生母地となることも知られており、定期的な経過観察が重要です。このように、肝硬変は単に肝機能が低下するだけでなく、全身にさまざまな影響を及ぼす疾患です。
再生医療による肝硬変へのアプローチ
再生医療は、人間が本来持っている自己修復能力を利用して、失われた組織や臓器の機能を回復させることを目指す医療分野です。肝硬変に対するアプローチとしては、主に「幹細胞」を用いた治療の研究が進められています。幹細胞は、さまざまな種類の細胞に分化する能力(多分化能)と、自分自身を複製する能力(自己複製能)を併せ持つ特殊な細胞です。
治療に用いられる幹細胞には、ご自身の脂肪や骨髄から採取する間葉系幹細胞などがあります。これらの幹細胞を体内に投与すると、損傷した肝臓組織に集まり、炎症を抑制したり、肝細胞の再生を促したりする作用を持つサイトカインなどを放出することが報告されています。これにより、肝臓の線維化の進行を抑制し、残された肝機能の維持・改善につながる可能性が期待されています。
幹細胞治療に期待されることと現状の課題
肝硬変に対する幹細胞治療には、肝臓の線維化抑制や炎症の軽減、肝機能の指標となる数値(AST、ALT、アルブミンなど)の改善といった可能性が研究レベルで示唆されています。従来の治療法では進行を食い止めることが難しかった方にとって、新しい選択肢となり得るかもしれません。
一方で、この治療法はまだ研究開発の途上にあるものが多く、すべての方に同様の効果が期待できるわけではありません。治療効果や安全性には個人差があり、現時点では標準的な治療法として確立されているわけではないことを理解しておく必要があります。また、再生医療の多くは公的医療保険が適用されない自由診療となるため、治療内容や費用について十分に理解し、納得した上で検討することが大切です。
自由診療としての再生医療を検討する前に
再生医療を検討する際は、まず専門の医師による診察を受け、ご自身の肝硬変の状態や進行度を正確に把握することが不可欠です。その上で、治療の目的や期待できること、考えられるリスクや副作用について、時間をかけて詳しい説明を受けるようにしてください。
- 治療の具体的な内容と流れ
- 期待される作用と、その限界
- 起こり得る副作用やリスク
- 治療にかかる費用や期間、回数の目安
- 治療後の経過観察について
これらの情報を基に、ご自身が治療を受けるかどうかを慎重に判断することが求められます。疑問や不安な点があれば、納得できるまで医師に質問することが重要です。
大阪・梅田で肝疾患や再生医療について相談する
肝硬変やその先の選択肢としての再生医療について、より詳しい情報を知りたい、あるいは相談してみたいとお考えの方もいらっしゃるかもしれません。グラングリーン大阪 うめきたクリニックでは、肝疾患を含む内科診療の一環として、お身体の状態に関するご相談を受け付けております。また、細胞治療に関する知見を持つ医師が在籍しており、再生医療に関する情報提供も行っています。
治療の適応は、個々の患者さまの状態によって異なりますので、まずは医師による診察が前提となります。診察を通じて、現在の健康状態や治療の選択肢について一緒に考え、一人ひとりに合わせた情報を提供します。JR大阪駅直結の場所にあり、アクセスしやすい環境ですので、肝機能の数値が気になる方や、将来的な選択肢について話を聞いてみたい方は、一度ご相談ください。
まとめ
肝硬変に対する再生医療、特に幹細胞を用いた治療は、従来の治療法に加えて、肝機能の維持・改善を目指す新たなアプローチとして期待されています。しかし、その効果や安全性はまだ研究段階であり、すべての方に適応となるわけではありません。治療を検討する際には、自由診療であることや、それに伴うリスク、費用などを十分に理解した上で、専門の医師とよく相談することが極めて重要です。ご自身の状態を正しく把握し、納得のいく選択をするための第一歩として、まずは医療機関にご相談ください。
参考情報
- PubMed: Non-alcoholic fatty liver disease: Definition and subtypes. (2023)
- PubMed: Metabolic Dysfunction-Associated Steatotic Liver Disease: From Pathogenesis to Current Therapeutic Options. (2024)
- PubMed: Amelioration of nonalcoholic fatty liver disease by inhibiting the deubiquitylating enzyme RPN11. (2024)
- PubMed: Pathophysiological Aspects of Alcohol Metabolism in the Liver. (2021)
- PubMed: Induced Pluripotent Stem Cells (iPSCs)-Roles in Regenerative Therapies, Disease Modelling and Drug Screening. (2021)
- PMC: Macrophage: Biological Functions, Diseases, and Therapeutic Targets. (2026)
- PMC: Human Umbilical Cord Mesenchymal Stem Cell-Derived Exosomes Attenuate Renal Fibrosis by Suppressing Fibroblast Activation via the INHBA/PI3K/AKT Pathway. (2026)
- PMC: Emerging bioactive microneedle platforms for disease management: From cutaneous disorders to systemic therapeutics. (2026)
- PMC: Mitochondrial Transplantation Increases Dermal Fibroblast Proliferation and Accelerates Acute Wound Closure. (2026)
- 厚生労働省: 医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書 / Q&A (2023)
監修医師紹介
医療法人島田クリニック理事長
グラングリーン大阪うめきたクリニック診療部長
島田 英徳
2005年徳島大学医学部医学科卒業。初期研修後、米国医師資格(ECFMG certification)を取得し、米国ワシントン大学一般外科にてサブインターンとして研修。京都大学大学院医学研究科博士課程、京都大学iPS細胞研究所研究員を経て、2013年に島田クリニックを開業。グラングリーン大阪うめきたクリニック(https://umekitaclinic.org)では、内料・小児科から細胞治療や美容医療に至るまで、幅広い診療に携わる。
※本記事の医師監修に関して、学術部分のみの監修となり、医師が具体的な施術や商品等を推奨しているものではございません。