グラングリーン大阪うめきたクリニックの島田英徳です。
脂肪幹細胞治療は、ご自身の脂肪組織から取り出した細胞を用いる再生医療の一つです。自分の細胞を使うと聞くと負担が少ない印象を持つ方もいますが、どのような治療にも起こりうる症状やリスクがあります。この記事では、脂肪の採取と細胞の投与、それぞれの場面で想定される症状と、受診を考える目安を整理します。
結論から言うと、副作用やリスクの種類は治療の部位や方法、体質によって異なり、まったく起こらないと言い切ることはできません。事前に正しい観点を持ち、医師の診察で個別に確認することが大切です。
脂肪幹細胞治療で想定されるリスクの全体像
脂肪幹細胞治療は、脂肪組織の採取、細胞の培養や調製、体内への投与という段階で進みます。リスクもこの流れに沿って考えると整理しやすくなります。採取に伴う身体的な負担、培養や輸送の品質管理に関する事項、投与後の体の反応がそれぞれ関わります。
臨床試験の報告では、自己脂肪由来の間葉系幹細胞を用いた研究で重い有害事象が少なかったとする報告もありますが、対象疾患や投与方法が限られた条件での結果です。そのまま全ての方に当てはまるとは考えず、慎重に受け止める必要があります。
脂肪採取の場面で起こりうる症状
脂肪の採取は、局所麻酔などを用いて少量の脂肪組織を取り出す処置です。処置後の一時的な症状として、次のようなものが挙げられます。
- 採取部位の痛みや違和感、つっぱり感
- 皮下出血(あざ)や腫れ
- 採取部位の感覚の変化
- まれに、感染や傷の治りの遅れ
- 麻酔薬に対するアレルギー反応
多くは時間の経過とともに和らぐことが一般的ですが、経過には個人差があります。抗凝固薬を服用している方や、傷が治りにくい持病のある方は、事前に必ず医師へ伝えてください。
細胞を投与したあとに見られる反応
投与後には、投与部位の痛みや腫れ、赤み、一時的な発熱やだるさなどが報告されることがあります。点滴で投与する場合は、血管痛や、まれにアレルギー様の反応が起こる可能性も考慮されます。
これらは体が処置や細胞に反応して生じる症状のこともあれば、別の原因による場合もあります。自己判断で様子を見続けず、症状の程度や続く期間を記録しておくと、受診時に医師が状況を把握しやすくなります。
こんなときは早めの受診を検討しましょう
次のような症状がある場合は、通院先のクリニックへ連絡し、必要に応じて医療機関を受診してください。
- 38度以上の発熱が続く、または悪寒を伴う
- 採取部位や投与部位の強い痛み、急な腫れ、赤みの広がり
- 傷口からの膿や出血が止まらない
- 息苦しさ、じんましん、顔や唇の腫れなど、アレルギーが疑われる症状
- 時間がたっても症状が改善せず、むしろ強くなっている
息苦しさや意識がぼんやりするなど急を要する症状がある場合は、迷わず救急の受診を検討してください。
治療前に確認したいこと
リスクを正しく理解するには、治療を受ける前の確認が重要です。再生医療は再生医療等安全性確保法に基づき、提供計画の届出などが求められる分野です。次の点を医師に確認しておくと安心です。
- 治療計画が法令に沿って提供されているか
- 起こりうる副作用やリスク、治療が適さないケースの説明内容
- 培養や輸送を含む品質管理の体制
- 費用、回数、期間などの条件
- 症状が出たときの連絡先や対応の流れ
効果の感じ方にも個人差があり、治療によって改善が得られるとは限りません。メリットとリスクを並べて理解し、納得したうえで判断することが大切です。
グラングリーン大阪 うめきたクリニックで相談する自然な理由
グラングリーン大阪 うめきたクリニックは梅田エリアにあり、仕事や買い物の合間にも通いやすい立地です。医師の診察で、ご自身の体の状態や服用中の薬を踏まえたうえで、適応やリスクについて個別に確認できます。
再生医療の概要や取り扱いについては、公開しているページでも確認できます。治療を決める前の情報整理として、詳細はこちらもあわせてご覧ください。ご不安な点は、診察の場でお気軽にご相談ください。
まとめ
脂肪幹細胞治療には、脂肪採取と細胞投与のそれぞれに起こりうる症状があります。多くは一時的なものと考えられていますが、個人差があり、リスクがないとは言えません。症状が強い、長引くといった場合には早めに受診し、治療前には説明内容や法令への対応を確認することが大切です。医師と十分に話し合ったうえで、ご自身に合った判断をしてください。
- 1脂肪の採取採取部位の症状を確認
- 2細胞の投与投与後の反応を確認
- 3経過の記録症状と期間をメモ
- 4早めに相談強い症状は受診を検討
この図は本文の内容を整理した概念図です
参考情報
- PubMed: Clinical Efficacy and Safety of the Intra-articular Injection of Autologous Adipose-Derived Mesenchymal Stem Cells for Knee Osteoarthritis: A Phase III, Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Trial. (2023)
- PubMed: Clinical investigation on nebulized human umbilical cord MSC-derived extracellular vesicles for pulmonary fibrosis treatment. (2025)
- PubMed: Clinical safety and efficacy of allogenic human adipose mesenchymal stromal cells-derived exosomes in patients with mild to moderate Alzheimer’s disease: a phase I/II clinical trial. (2023)
- PubMed: Allogeneic mesenchymal stem cell therapy with laromestrocel in mild Alzheimer’s disease: a randomized controlled phase 2a trial. (2025)
- PubMed: Mesenchymal Stem Cell Therapy in Traumatic Spinal Cord Injury: A Systematic Review. (2023)
- PMC: Adipose derived mesenchymal stem cell therapy in the treatment of isolated knee chondral lesions: design of a randomised controlled pilot study comparing arthroscopic microfracture versus arthroscopic microfracture combined with postoperative mesenchymal stem cell injections. (2015)
- PMC: Safety and Tolerability of Adipose-Derived Mesenchymal Stem Cell (ADR-001) Therapy for IgA Nephropathy. (2024)
- PMC: Safety and efficacy of long-shelf-life allogeneic adipose-derived mesenchymal stem cell line-derived platelet-like cells for refractory foot ulcers: A translational preclinical and phase 1/2a study. (2025)
- PMC: Safety and Efficacy of Adipose-Derived Mesenchymal Stem Cell Therapy for Ischemic Heart Disease: A Systematic Review. (2024)
- 厚生労働省: 医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書 / Q&A (2023)
監修医師紹介
医療法人島田クリニック理事長
グラングリーン大阪うめきたクリニック診療部長
島田 英徳
2005年徳島大学医学部医学科卒業。初期研修後、米国医師資格(ECFMG certification)を取得し、米国ワシントン大学一般外科にてサブインターンとして研修。京都大学大学院医学研究科博士課程、京都大学iPS細胞研究所研究員を経て、2013年に島田クリニックを開業。グラングリーン大阪うめきたクリニック(https://umekitaclinic.org)では、内料・小児科から細胞治療や美容医療に至るまで、幅広い診療に携わる。
※本記事の医師監修に関して、学術部分のみの監修となり、医師が具体的な施術や商品等を推奨しているものではございません。