グラングリーン大阪うめきたクリニックの島田英徳です。
脂肪注入豊胸では、脂肪吸引で採取した脂肪をそのまま注入するわけではなく、注入前に「脂肪処理」と呼ばれる工程を挟むのが一般的です。処理には遠心分離、濾過、洗浄、自然に静置して分離させるデカンテーションなど複数の方法があります。この記事では、それぞれの考え方と、比較研究から現時点で分かっていること、分かっていないことを整理します。
結論:どの処理が最良かは、現時点で一つに定まっていません
結論から言うと、脂肪処理の方法ごとに生着率や仕上がりを比べた研究は複数ありますが、研究の対象部位や評価方法、症例数が異なり、「この方法が最も優れている」と断定できる段階ではありません。脂肪移植の採取・処理・注入の各技術をまとめたレビュー論文でも、方法による差を示す報告がある一方で、標準化された手順は確立していないことが指摘されています。そのため、処理方法の名称だけで施術を比較するのではなく、医師がどのような考え方で選んでいるかを診察で確認する姿勢が大切です。
脂肪処理が必要とされる理由
吸引で採取した脂肪には、脂肪細胞のほかに、麻酔液や血液、破壊された細胞から出た油分などが混ざっています。これらが多く残ると、注入後の組織に炎症が起こりやすくなる可能性が考えられており、不要な成分を取り除く目的で処理が行われます。一方で、処理を強くしすぎると脂肪組織そのものに物理的な負荷がかかるという懸念もあり、「取り除くこと」と「組織を傷めないこと」のバランスが論点になります。
主な脂肪処理の方法と特徴
代表的な方法には次のようなものがあります。
- 遠心分離:専用の機器で回転させ、比重の違いを利用して油分や水分を分離する方法です。短時間で処理できる一方、回転の強さによって脂肪への負荷が変わる点が議論されています。
- 濾過(フィルタリング):フィルターやガーゼ状の素材に通して余分な液体や線維成分を除く方法です。比較的穏やかな処理とされますが、閉鎖系かどうかなど器具の構成によって条件が異なります。
- 洗浄:生理食塩水などで脂肪を洗い、血液成分や遊離した油分を減らす方法です。洗浄の回数や液量に統一された基準はありません。
- デカンテーション(静置):脂肪を静かに置いて自然に分離させる方法で、最も物理的な負荷が少ない処理の一つと位置づけられます。
顔面の脂肪移植で3種類の処理法を比べたランダム化比較試験や、近年の動物実験でデカンテーションと専用デバイスによる処理を比べた報告などがありますが、いずれも対象や条件が限られています。乳房への脂肪注入にそのまま当てはめられるとは限らないため、結果の解釈には注意が必要です。
比較研究から読み取れること、読み取れないこと
研究によっては、処理方法の違いで一定期間後の残存量に差がみられたと報告されることがあります。ただし、体積の測定方法、観察期間、採取部位、注入量、患者さんの体質などの要因が結果に影響するため、処理方法だけの効果を切り分けるのは容易ではありません。また、動物実験の結果は、そのまま人の乳房での結果を示すものではありません。
さらに、脂肪の生着には処理方法のほかに、注入する層や量、注入圧、受け手の組織の状態なども関わるとされています。「処理方法を選べば定着が保証される」という性質のものではない点を、あらかじめ理解しておくことが重要です。
診察で確認したいポイント
脂肪注入豊胸を検討する際には、処理方法の名称だけでなく、次のような点を医師に確認すると、納得感を持って判断しやすくなります。
- 採取した脂肪をどのような方法で処理するのか、またその選択理由
- 生着には個人差があり、注入した脂肪の一部は吸収されうることの説明
- 脂肪壊死やしこり、石灰化など起こりうる合併症と、その対応
- 術後の画像検査や乳がん検診との関係
- リスク、費用、ダウンタイムを含めた説明を十分に受けられるか
医療広告のガイドラインでも、治療内容だけでなくリスクや副作用を含めた情報提供が求められています。患者さん自身が確認すべき観点を持って受診することが、後悔の少ない選択につながります。
グラングリーン大阪 うめきたクリニックで相談する自然な理由
グラングリーン大阪 うめきたクリニックでは、豊胸(バッグ豊胸、脂肪注入豊胸)を含む美容医療を取り扱っており、梅田エリアで通いやすい立地で診察を受けられます。脂肪注入豊胸が適しているかどうかは、体型や採取できる脂肪の量、ご希望、既往歴などによって異なるため、医師の診察で適応とリスクを確認したうえで判断することになります。メニューの詳しい情報は公開ページで確認できますので、あわせてご覧ください。
まとめ
脂肪注入豊胸における脂肪処理には、遠心分離、濾過、洗浄、デカンテーションなど複数の方法があり、現時点で優劣が確定しているわけではありません。研究結果は条件によって異なるため、単一の報告だけで判断せず、処理方法の考え方やリスクを医師から丁寧に説明してもらうことが大切です。気になる点は、診察の場でご相談ください。
- 処理法は複数遠心分離・濾過・洗浄・静置
- 優劣は未確定研究の条件が異なる
- 診察で確認選択理由とリスク
この図は本文の内容を整理した概念図です
参考情報
- PMC: The Current State of Fat Grafting: A Review of Harvesting, Processing, and Injection Techniques. (2015)
- PMC: Three-dimensional Volumetric Analysis of 3 Fat-Processing Techniques for Facial Fat Grafting: A Randomized Clinical Trial. (2018)
- PMC: A comparative translational study: the combined use of enhanced stromal vascular fraction and platelet-rich plasma improves fat grafting maintenance in breast reconstruction. (2012)
- PMC: Preclinical Volume Retention of Fat Grafts Processed with REVOLVE™ Technology or Decantation Methods in Irradiated and Nonirradiated Wounds. (2025)
- 厚生労働省: 医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書 / Q&A (2023)
- 厚生労働省: 医療広告規制に関する情報
監修医師紹介
医療法人島田クリニック理事長
グラングリーン大阪うめきたクリニック診療部長
島田 英徳
2005年徳島大学医学部医学科卒業。初期研修後、米国医師資格(ECFMG certification)を取得し、米国ワシントン大学一般外科にてサブインターンとして研修。京都大学大学院医学研究科博士課程、京都大学iPS細胞研究所研究員を経て、2013年に島田クリニックを開業。グラングリーン大阪うめきたクリニック(https://umekitaclinic.org)では、内科・小児科から細胞治療や美容医療に至るまで、幅広い診療に携わる。
※本記事の医師監修に関して、学術部分のみの監修となり、医師が具体的な施術や商品等を推奨しているものではございません。