グラングリーン大阪うめきたクリニックの島田英徳です。
再生医療は、病気やけがで損なわれた体の機能回復を目指す、新しい医療分野の一つとして注目されています。しかし、新しい技術であるからこそ、その安全性や妥当性をどのように確認すればよいのか、不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。そこで重要な役割を果たすのが「再生医療等安全性確保法」です。この法律は、再生医療を受ける方が安心して治療を選択できるよう、国が定めたルールです。この記事では、再生医療等安全性確保法の目的や、治療を検討する際に知っておきたいポイントについて解説します。
再生医療等安全性確保法の目的
再生医療等安全性確保法(正式名称:再生医療等の安全性の確保等に関する法律)は、2014年に施行された法律です。その主な目的は、再生医療を安全かつ適切に提供するための仕組みを整え、国民が迅速かつ安全に再生医療等を受けられるようにすることです。この法律が制定される前は、再生医療の提供に関する明確なルールが少なく、自由診療の範囲で様々な治療が行われていました。そこで、患者さんを保護し、技術の健全な発展を促すために、国が一定の基準を設けることになったのです。この法律は、大学病院などで行われる臨床研究から、クリニックで提供される自由診療まで、日本国内で提供される再生医療のほとんどを対象としています。
なぜこの法律が重要なのでしょうか?
再生医療に興味を持ったとき、「どの情報が正しくて、どの医療機関を選べばよいのかわからない」という悩みに直面することがあります。特に自由診療の場合、治療内容や費用も医療機関によって異なるため、判断が難しいと感じるかもしれません。再生医療等安全性確保法は、こうした状況において一つの判断基準となります。この法律に基づいて治療を提供している医療機関は、国が定めた手続きを踏んでいることを意味します。具体的には、治療計画の妥当性や安全性を、外部の専門家で構成される委員会が審査し、その上で国に計画を届け出る必要があります。つまり、この法律は、医療機関の独断で治療が行われることを防ぎ、第三者の目による客観的な評価を義務付けることで、治療の安全性を高めるための重要な仕組みなのです。
法律が定める主なルールとリスク分類
再生医療等安全性確保法では、安全性を確保するためにいくつかの重要なルールが定められています。治療を提供する医療機関は、これらのルールを遵守しなければなりません。
- 提供計画の届出
医療機関は、どのような疾患に対して、どのような細胞を用いて、どのように治療を行うのかを詳細に記した「再生医療等提供計画」を作成し、厚生労働省に提出する必要があります。 - 認定再生医療等委員会による審査
提供計画は、国に提出する前に、中立的な専門家で構成される「認定再生医療等委員会」の審査を受けなければなりません。この委員会で、計画の科学的・倫理的な妥当性が厳しくチェックされます。 - リスクに応じた分類
提供される再生医療は、リスクの高さに応じて3つのカテゴリーに分類されます。リスクが高いほど、より厳格な手続きが求められます。
・第一種(高リスク):iPS細胞やES細胞など、前例の少ない技術を用いるもの。
・第二種(中リスク):体性幹細胞など、一定のリスクが考えられるもの。
・第三種(低リスク):体細胞を加工するなど、リスクが低いと考えられるもの。 - 特定細胞加工物製造の届出
細胞の培養や加工を外部の施設に委託する場合、その施設も国の許可や届出が必要です。これにより、細胞の品質管理が徹底されます。
治療を受ける前に確認したいポイント
再生医療を検討する際には、ご自身で情報を確認し、納得した上で判断することが大切です。以下の点を、医療機関に質問したり、カウンセリングで確認したりすることをお勧めします。
- 治療計画が国に受理されているか
検討している治療が、再生医療等安全性確保法に基づいた手続きを経て、厚生労働省に受理されているかを確認しましょう。受理された計画は、厚生労働省のウェブサイトで公表されています。 - 十分な説明(インフォームド・コンセント)があるか
治療の効果だけでなく、考えられるリスク、副作用、代替となる他の治療法について、時間をかけて丁寧に説明を受けられるかどうかも重要なポイントです。疑問や不安がなくなるまで質問しましょう。 - 認定再生医療等委員会の審査を経ているか
その治療計画が、どの認定再生医療等委員会で審査・承認されたものかを確認することも、安全性を確かめる上で役立ちます。
信頼できる医療機関で相談することの重要性
再生医療は専門性の高い分野であり、その適応は個人の状態によって異なります。そのため、治療を検討する第一歩は、この分野に関する知識と経験を持つ医師に相談することです。再生医療等安全性確保法を遵守している医療機関では、法律に基づいた適切な情報提供が期待できます。大阪・梅田に位置するグラングリーン大阪 うめきたクリニックのような医療機関では、医師による診察を通じて、ご自身の健康状態や悩みに基づいた適切なアドバイスを受けることができます。診察の場で、法律に関する疑問点や治療の具体的な内容について直接質問し、理解を深めることが、納得のいく選択につながります。
まとめ
再生医療等安全性確保法は、再生医療という新しい選択肢の安全性を守るための重要な法律です。自由診療で再生医療を検討する際には、その治療が法律のルールに則って提供されているかを確認することが、ご自身の身を守ることにつながります。治療内容を正しく理解し、リスクを含めて納得した上で判断するためにも、まずは信頼できる医療機関で医師に相談し、十分な情報を得ることが大切です。
参考情報
- PubMed: Detailed revisions to the subordinate regulation following the amendment of the Act on the Safety of Regenerative Medicine in Japan. (2025)
- PubMed: Reflection on the enactment and impact of safety laws for regenerative medicine in Japan. (2021)
- PubMed: Regenerative medicine in Obstetrics & Gynecology: Current status under the Act on the Safety of Regenerative Medicine in Japan. (2024)
- PubMed: Identification of unapproved orthopedic regenerative medicine: Usefulness of the Act on Safety of Regenerative Medicine. (2024)
- PubMed: Basic Points to Consider for Cell Storage under the Act on the Safety of Regenerative Medicine in Japan. (2025)
- 厚生労働省: 医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書 / Q&A (2023)
- 厚生労働省: 医療広告規制に関する情報
- 厚生労働省: 再生医療について
監修医師紹介
医療法人島田クリニック理事長
グラングリーン大阪うめきたクリニック診療部長
島田 英徳
2005年徳島大学医学部医学科卒業。初期研修後、米国医師資格(ECFMG certification)を取得し、米国ワシントン大学一般外科にてサブインターンとして研修。京都大学大学院医学研究科博士課程、京都大学iPS細胞研究所研究員を経て、2013年に島田クリニックを開業。グラングリーン大阪うめきたクリニック(https://umekitaclinic.org)では、内科・小児科から細胞治療や美容医療に至るまで、幅広い診療に携わる。
※本記事の医師監修に関して、学術部分のみの監修となり、医師が具体的な施術や商品等を推奨しているものではございません。