グラングリーン大阪うめきたクリニックの島田英徳です。
再生医療の話題で「脂肪由来幹細胞」という言葉を目にして、「そもそも脂肪から何が採れるのか」「ほかの幹細胞とどう違うのか」と疑問に思う方は少なくありません。名前のイメージだけが先行しやすい分野だからこそ、基本から整理しておくことが大切です。
この記事では、脂肪由来幹細胞の基本的な特徴と、再生医療で関心を集めている理由を、公開されている研究情報をもとに落ち着いて解説します。なお、細胞治療は自由診療であり、効果や適応には個人差があります。具体的な判断は医師の診察に基づいて行われます。
脂肪由来幹細胞とは何か
幹細胞とは、自分と同じ細胞を作り出す「自己複製能」と、さまざまな種類の細胞へ変化する「分化能」を併せ持つ細胞の総称です。その中で、脂肪組織に含まれる幹細胞は「脂肪由来間葉系幹細胞」と呼ばれ、脂肪細胞や骨、軟骨などの細胞へ変化しうる性質をもつと報告されています。
間葉系幹細胞は骨髄や臍帯などにも存在することが知られています。脂肪組織は体内に広く分布しているため、研究の世界では細胞を得やすい組織の一つとして注目されてきました。ただし、得やすいことと、治療として有効であることは別の問題であり、後者は個別の評価が必要です。
ほかの幹細胞との違い
幹細胞には大きく分けて、受精卵に由来するES細胞、人工的に作るiPS細胞、そして体の組織に存在する体性幹細胞があります。脂肪由来幹細胞は体性幹細胞の一つで、ご自身の脂肪から採取した細胞を用いる点が特徴です。
- ES細胞:受精卵由来で、倫理面の議論を伴う
- iPS細胞:体細胞を初期化して作製する
- 体性幹細胞:骨髄・脂肪などの組織に存在し、自己の細胞を利用できる
ご自身の細胞を使う場合、他人の細胞を使う場合に比べて拒絶反応の懸念は小さいと考えられていますが、細胞の状態や培養の品質によって結果が左右される可能性は残ります。
再生医療で関心を集める理由
間葉系幹細胞は、自らが組織の一部に置き換わるだけでなく、周囲の細胞に働きかける物質を分泌し、炎症の調整や組織の修復環境に関わる可能性があると研究されています。脂肪由来幹細胞についても、整形外科領域や免疫調整などの分野で基礎・臨床研究が続けられています。
一方で、こうした研究の多くは条件や対象が限られており、「すべての方に同じ結果が得られる」とは言えません。単一の研究結果を一般化せず、現時点でわかっていることと、まだ検証が必要なことを分けて理解する姿勢が重要です。
採取から投与までの一般的な流れ
脂肪由来幹細胞を用いる細胞治療では、一般に少量の脂肪組織を採取し、専門の施設で幹細胞を分離・培養したうえで、点滴などの方法で体内に戻すという流れが取られます。細胞の培養は、再生医療等安全性確保法に基づく計画と、衛生管理された施設で行われることが前提です。
採取の際には、局所麻酔に伴う負担や、採取部位の腫れ、痛み、内出血などが起こる可能性があります。事前に医師から、起こりうる症状や費用、通院回数について十分な説明を受けることが大切です。
相談前に確認したいことと当院での相談
脂肪由来幹細胞を用いた細胞治療を検討する際は、次の点を確認しておくと、診察で話が整理しやすくなります。
- ご自身の持病や服用中の薬、過去の治療歴
- 治療の目的と、期待できる範囲・限界についての説明
- 費用、通院回数、期間などの自由診療としての条件
- 起こりうる副作用やリスク、受けられない場合の条件
大阪駅周辺からアクセスしやすい梅田エリアにあるグラングリーン大阪 うめきたクリニックでは、医師の診察のうえで、ご自身の状態に応じた適応やリスクを確認することができます。治療の内容や流れは、公開しているページにもまとめていますので、診察前の情報整理にお役立てください。
細胞治療の全体像については、詳細はこちらからご確認いただけます。
まとめ
脂肪由来幹細胞は、脂肪組織に含まれる間葉系幹細胞で、ご自身の細胞を用いられる点や、採取しやすさから再生医療で研究されてきました。一方で、効果や安全性は個別に慎重な評価が必要であり、期待だけで判断することは望ましくありません。
気になる点がある場合は、まず医師の診察で、ご自身の状態にあてはめた説明を受けることをおすすめします。
- 1脂肪組織の採取少量を採取
- 2幹細胞の分離専門施設で処理
- 3細胞の培養衛生管理のもと
- 4点滴で投与医師の判断で実施
この図は本文の内容を整理した概念図です。内容は診察での説明が優先されます
参考情報
- PubMed: Mesenchymal stem cell secretome for regenerative medicine: Where do we stand? (2025)
- PubMed: Clinical application of mesenchymal stem cell in regenerative medicine: a narrative review. (2022)
- PubMed: Mesenchymal Stem/Stromal Cell-Derived Exosomes for Immunomodulatory Therapeutics and Skin Regeneration. (2020)
- PubMed: Fibro-adipogenic progenitors in skeletal muscle homeostasis, regeneration and diseases. (2021)
- PubMed: Immunomodulatory Mechanisms of Mesenchymal Stem Cells and Their Potential Clinical Applications. (2022)
- PMC: A review of adipose-derived mesenchymal stem cells’ impacts and challenges: metabolic regulation, tumor modulation, immunomodulation, regenerative medicine and genetic engineering therapies. (2025)
- PMC: Adipose-Derived Mesenchymal Stem Cells: A Promising Tool in the Treatment of Musculoskeletal Diseases. (2019)
- PMC: Effect of hypoxia on human adipose-derived mesenchymal stem cells and its potential clinical applications. (2017)
- PMC: Exposure to small molecule cocktails allows induction of neural crest lineage cells from human adipose-derived mesenchymal stem cells. (2020)
- 厚生労働省: 医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書 / Q&A (2023)
監修医師紹介
医療法人島田クリニック理事長
グラングリーン大阪うめきたクリニック診療部長
島田 英徳
2005年徳島大学医学部医学科卒業。初期研修後、米国医師資格(ECFMG certification)を取得し、米国ワシントン大学一般外科にてサブインターンとして研修。京都大学大学院医学研究科博士課程、京都大学iPS細胞研究所研究員を経て、2013年に島田クリニックを開業。グラングリーン大阪うめきたクリニック(https://umekitaclinic.org)では、内科・小児科から細胞治療や美容医療に至るまで、幅広い診療に携わる。
※本記事の医師監修に関して、学術部分のみの監修となり、医師が具体的な施術や商品等を推奨しているものではございません。